2016年3月19日土曜日

下村唯のライブパフォーマンス

書きそびれたレビューのためのアーカイブ 3

2015年1月22日(木)
casa carina rosa
@space eauuu (スペース・オー)

Live:
sleepland
Kazuto Yokokara
村上裕
Jomyak + 下村唯


ダンサーの下村唯が神戸は元町の雑居ビル3階にある音楽スペースでライブ・パフォーマンスを行った。プログラムにはアンビエントとかエレクトロニカといわれるジャンルのミュージシャンが並んでいる。この手の音楽にはとんと疎く、ライブで聞くのはめったにない体験。すべてのミュージシャンがITツールを駆使して一人で音を操作し、サンプルを何重にもコラージュしながら、一方でギターを弾いたりキーボードをいじったり。音質、音量を適宜変化させつつ。今にも踊り出したくなるようなダンスミュージックではなく、心地よい眠気を誘うタイプの音楽、だが聴く人は飲み物片手にほとんど集中していた様子。

この日、踊りで参加したは下村のみ。キーボード・プレイヤーとのコラボだ。普段着にパーカを羽織った身なりで気負いなく現れ、タップダンスから入って、ほぼ即興で行為を繋いでいく。とても面白かった。ポケットにパフォーマンスのアイデアがたくさん詰まっていて、自然な流れでそこから取り出してくる。幕の内弁当を食べるみたいに、次はこれ、次はこちらと気まぐれに箸を運ぶのに似て。あるいはハム・エッグでも食べるくらいの気安さで。パーカのフード、靴下、身に着けていたキーホルダーなども小道具にしながら、オーディエンスのいるフロアも含めてスペース全体を使って進めていくが、終盤には聴衆の一人に狙いを定め、目力をぐっとあげて接近、カジュアルな感じで進んできたパフォーマンスがここで一気に熱く濃い時間になる。そのまま愛の行為に持ち込むかと思いきや、ふいっと眼差しの緊縛を解いて、全体的にはさらりと踊った気のおけないライブだった。
国内ダンス留学OB,OG,現役3期生、ダンスボックスタッフも見に来ていたが、この日はダンサーvs.批評家の関係はオフ。若きダンス人らと談笑のひととき。